九谷焼は本当に高い焼き物なのか...



九谷焼の業界に入り15年になります。私で三代目になりますが、この業界に入った時はいわゆるバブル崩壊後の世の中に全く明るい話題を聞くことができなかった時代です。まあ、もともとバブル全盛期の時には中学生~高校生なので、その華やかな生活自体を知らずに戻って来ましたので周りが騒ぐほど大変な時期だとは思えませんでした。むしろその時の伝統工芸を取り巻く状態がスタンダードとさえ思っていましたから。

九谷焼は高いから売れない

さて、その当時よく耳にした言葉があります「九谷焼は高いから売れないんだよ」「100円ショップとかでも似たような食器が買える時代だし」確かに九谷焼は量販店等で販売されている食器などと比べると明らかに高いかもしれません。私自身も高いものだという認識はありました。だからと言って比べる対照に前述のような食器を持ち出すのは若輩ながら少々疑問を持っていました。

そもそも「食器」という実用性の部分で言えば料理を入れる器であればなんでも良いわけで、売れなくなった理由が高いからというのは、それまで九谷焼を指名買いされていたお客様に大変失礼なことだと思うわけです。九谷焼を販売している当事者が100円ショップのものと価格で勝負しようと考えていること自体がナンセンスな話であり、売れない言い訳にしか聞こえないわけです。

「手間暇=価格価値」であるはずがない

正確には解りませんが今現在、流通している九谷焼は5000アイテムくらいあるのではないかと思います。確かにその中にはお値段と作品の価値が見合わないものがあるのも事実です。もっと言えば手間隙をかけたから高いという理由の作品で見た目には、解らないものもたくさんあります。ここが私が重要視する部分です。「手間隙をかけたから高くていい」それはあくまで売り手側の意見であり、九谷焼を選んで頂く皆様には何のメリットもありません。例えるなら料理屋さんで時間をかけて手間隙かけて作った料理が不味いという結果は本末転倒であり、本当のプロではないということです。

お客様に喜ばれる、感動してもらうという視点で手間隙をかけること、それが作品に反映されている九谷焼だけを扱いたい。そんな思いがここ数年さらに強くなってきました。ただの食器というカテゴリーではなく使う人の心が動き、感情が高ぶる、大切な場を演出する、日常の中に非日常を体験して頂ける作品を自分の眼で確かめてご紹介すること、私が今、この仕事を続ける中で最も大事にしたい部分であります。

自分が感動し、美しいと感じ、忘れない記憶となるような機会をもっともっと経験することで自分のモノを見る眼を鍛えていかないといけないと考える日々がこれからも続いていくことでしょう。

九谷焼専門店 和座本舗
http://www.wazahonpo.jp/