徳利なんて・・・と思っていましたが



徳利なんてなんであるんだろう?と30歳になるまで思っていました。

酒処、石川県に生まれ特に日本酒が嫌いなわけでなく20歳の頃から日本酒を愛飲しているが、それまで徳利と盃、お猪口、ぐい呑という器に関心が沸いたことがなかった。大きな理由の一つは酒を燗して呑まなかったからである。燗をせず常温もしくは冷酒として楽しんでいた日本酒の器としては、あの盃やぐい呑では小さ過ぎるのです。さらに言えば、なぜあんなにちょびちょび呑み、すぐに空けてはまた注ぐといった慌しい行為を繰り返すのかも理解できずにいた。 

歳を重ね、30歳を超えた頃だろうか。外食するお店の系統に変化が出てきた。居酒屋も好きではあるが仕事のお付き合い等で居酒屋よりも少しあらたまった割烹へ行く機会が増えた、そこには今まで気がつかなかった酒の楽しみがあり、ゆっくりとした時間の中で酒を注ぎ注がれ会話が進むという本来の酒を通じてのコミュニケーションの場があった。あらためて徳利や盃、ぐい呑を見てみると、そこには会話のきっかけになる薀蓄があり、カウンターや卓の上に美しい姿で鎮座するオブジェ的な要素もある。

 徳利なんて・・・と思っていた自分にとって大きな発見であり、九谷焼の酒器の魅力を初めて知ったのでした。写真の徳利のように胴が絞られた形状の徳利、そして少し大雑把に描かれた絵付けが特に今の私の好みです。この酒器でいつか息子と酒を酌み交わしたいと思いながら今宵も気持ちよく酔えるのです。

九谷焼専門店 和座本舗
http://www.wazahonpo.jp/